夏休みが終わってしまいましたね。
今年の夏は、記録的な猛暑となっており、気象庁の統計開始以来、もっとも暑い7月でした。きっと8月もそうでしょう。私の自宅は熊谷にあります。熊谷市は平成30(2018)年に41.1℃を記録して「日本一暑い」と言われていましたが、群馬県の伊勢崎市が8月5日に41.8℃を記録して更新しました。テレビで気象情報に使われる映像も伊勢崎市になるかもしれませんね。9月もしばらく暑い日が続く予測ですから、体調管理に努めてください。
さて…。今年の8月15日で「戦後80年」となりました。私は日本史を専門とする社会科の教員ですから、毎年、夏休みに放送される戦争特集番組を録画して、一人で見ます。本当は家族と一緒に見て、いろいろ話し合いたいのですが、嫁さんは「戦争番組は心が痛くなる」といって見てくれません。その気持ちも理解できます。私たちが若いうちに見た特集番組は、戦争の「悲惨さ」「残酷さ」に焦点が集まり、目を背けたくなるような映像や、想像を遙かに超える恐ろしい体験談ばかりでした。戦争を実体験した世代は、自らの余命を意識せざるを得ない高齢に達し、過去の歴史を次の世代に伝える使命を、さらに強く感じられておられると思います。
私は4年前の令和3年度、学校現場を離れ、東松山市にある平和資料館という埼玉県の施設で、学芸員さんと協力して、子供たちに「ピースガイダンス」という講義をする仕事をしました。私が平和資料館に転出を命じられた最大の目的は、「来館者数の増加」です。若い世代がなかなか来てくれない。昨年度、平和学習で皆さんにお話ししたことがありましたね。あのプレゼン資料は、平和のありがたさを子供たちでも実感できるように、全面改定したものです。少しは覚えていてくれていますか?
8月15日に全国公開された「雪風YUKIKAZE」という映画があります。皆さんのように戦争を知らない世代に、何を語りかけているのか、一緒に考えてもらうための映画だと思います。昨日、嫁さんや息子をしつこく誘ったのですが、やっぱり行ってくれませんでした。仕方なく一人で行きました。でも一人で行ってよかったです。ずっと涙が止まりませんでしたから…。
この「雪風」という駆逐艦は、太平洋戦争当時、16回以上の激戦地に参加したにも関わらず、大きな損傷を受けることなく、終戦を迎えた「幸運艦」と呼ばれました。駆逐艦は小型で高速、機動性に優れ、戦闘後は必ず現場にとどまって、海に投げ出された仲間を救い続けることを任務とします。戦艦大和の沖縄特攻作戦にも護衛として従い、大和沈没後、多くの乗組員を救助した記録が残っています。
映画ですから、当然脚色もありますが、戦争について考えるよい機会になりました。その中で、とても印象に残っているシーンがあります。駆逐艦の乗組員を束ねる、玉木宏が演じる伍長が、竹野内豊が演じる雪風艦長に問いかけます。「10年後、20年後、艦長の娘さんが大人になる頃には、日本はどんな国になっているんでしょうね…」それに艦長はこう答えます。「普通がいいな。夕餉を家族で一緒に囲める…。」見に行って良かったです。色々考えさせられました。
戦後80年が立ちました。今日から始まる2学期も、クラスや学年、部活動の仲間と一緒に、平和に仲良く、充実した高校生活が過ごせるといいですね。まずは文化祭、多くのお客さんが来てくれるでしょうから、一生懸命準備をして、頑張りましょう。